[入門] 法人税法

 第1章 法人税とは
  1. いろんな法人税
  2. 誰がいくら納めるのか
  3. 法人とは
  4. 所得とは (概念)
  5. 所得とは (計算)

 第2章 所得の調整
  1. 調整の4パターン
  2. 益金不算入
  3. 益金算入
  4. 損金不算入
  5. 損金算入
  
 第3章 税額の調整
  1. 基本的な税額の算出方法
  2. 加算調整
  3. 減算調整
  
 第4章 その他のトピック
  1. 一般社団法人と一般財団法人
  2. 欠損金の繰越
  3. 組織再編成
  4. 連結納税制度
  5. グループ法人税制
  6. 国際租税
  7. 租税回避行為

 第5章 ノート
  1. 学習ポイント① (一番大事な条文)

 第6章 ミニテスト
  1. 入門編

※下線のついてない項目は、執筆中の項目です。

1. 一般社団法人と一般財団法人

1. 導入

法人税の納税義務者は、法人ですが、

法人の定義は、法律上、明確に定義されず、一般的に、自然人以外の者であって、法令により権利能力を付与された社団又は財団であるとされています。

つまり、上記にあてはまる組織であれば、会社(株式会社、合名会社、合資会社又は合同会社)以外の組織であっても、法人税の納税義務者となりえます。

会社以外の法人の例としては、協同組合等、公益法人等を挙げることができますが、それ以外にも、一般社団法人や一般財団法人を挙げることができます。

そこで、一般社団法人と一般財団法人の法人税法上の取扱いについて、以下にまとめます。

2. 一般社団法人とは

一般社団法人とは、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」に基づいて設立される社団法人である。

一般社団法人は、一定の手続き及び登記さえ経れば、主務官庁の許可を得ることなく、誰でも設立することができます。

また設立後も行政からの監督・指導がなく、非営利法人であるが事業は公益目的に制限されず、営利法人である株式会社などと同じく収益事業や共益事業などを行うこともできます。

ただし、営利法人である株式会社等と異なり、設立者に剰余金または残余財産の分配を受ける権利を与えることはできず、そのような趣旨の定款は無効となります。

さらに、一般社団法人は、設立に2人以上の社員(出資者)が必要となります。

3. 一般財団法人とは

一般財団法人とは、原則として、一般社団法人と同じようなものですが、一般社団法人は、設立に2人以上の社員(出資者)が必要であることに対し、一般財団包囲人は、そのような制約がありません。

その他の違い等の詳細は、以下を参照。
「一般社団法人・一般財団法人とは?」(行政改革推進本部事務局)
http://www.gyoukaku.go.jp/siryou/koueki/pdf/pamphlet03.pdf

4. 法人税法上の取扱い

一般社団法人及び一般財団法人は、その内容によって、①公益社団法人・公益財団法人、②非営利型法人、③特定普通法人に分類され、それぞれに対し、法人税法上の取扱いが定められています。

その分類法は、以下です。

【表1:一般社団法人と一般財団法人の分類】

公益認定を受けている 公益認定を受けていない
非営利型である 非営利型でない
一般社団法人 公益社団法人 非営利型法人 特定普通法人
一般財団法人 公益財団法人

そして、各々の取扱いの違いは、以下です。

【表2:各法人の取扱い】

公益社団法人・公益財団法人 非営利型法人 特定普通法人
課税所得の範囲 収益事業から生じた所得
※ただし、公益目的事業に係るものを除く
収益事業から生じた所得 所得(全体)
一般寄附金の損金算入限度額 所得の金額×50%
※ただし、公益法人特別限度額が上記を超える場合は、公益法人特別限度額
所得の金額×1.25/100 所得の金額×1.25/100

以上が、一般社団法人と一般財団法人の法人税法上の取扱いについてのざっくりとした説明になります。

1. 調整の4パターン

法人税法上、所得を計算するためには、益金の額と損金の額を求める必要があることを前章で説明いたしました。

そして、その益金の額と損金の額は、企業会計上の収益の額や原価の額・費用の額等に調整を加えることで求めることも、前章で説明いたしました。

 

本章では、企業会計上の収益の額や原価の額等に加えるべき調整のパターンを紹介します。

具体的には、以下の4パターンがあります。

 ① 収益の額から金額を減算する調整(この調整を益金不算入といいます。)
 ② 収益の額に金額を加算する調整(この調整を益金算入といいます。)
 ③ 原価の額・費用の額等から金額を減算する調整(この調整を損金不算入といいます。)
 ② 原価の額・費用の額等に金額を加算する調整(この調整を損金算入といいます。)

次節以降、上記の4パターンの詳細について説明していこうと思います。

5. 所得とは(計算)

法人税法における所得の金額は、

その計算対象となる事業年度の益金の額から、その事業年度の損金の額を控除することで算出されます。

 

そして、その益金の額と損金の額は、企業会計上の収益の額と原価の額や費用の額を基に、

法人税法特有の調整を加えることで算出されます。

 

具体的に、どのような調整を加えなければならないかを次章で説明いたします。

参考書籍等の紹介

※主に、法人税法(特に自己株式)の取扱いを理解する上で参考になりそうな書籍等を列挙しています。


■租税全般
(学術書)
 金子宏『租税法 第21版』(弘文堂、2016)
 水野忠恒『大系租税法 第1版』(中央経済社、2015)
 谷口勢津夫『税法基本講義 第5版』(弘文堂、2016)
 武田昌輔・後藤喜一編著『会社税務釈義 第7巻(加除式書籍)』(第一法規、1964-)
(判例集)
 金子宏・佐藤英明・増井良啓・渋谷雅弘『ケースブック租税法 第4版』(弘文堂、2013)
 水野忠恒・中里実・佐藤英明・増井良啓・渋谷雅弘『別冊Jurist 租税判例百選 第5版』(有斐閣、2011)
(租税回避行為関連)
 松田直樹『租税戦略の解明』(日本評論社、2015)
(自己株式関連)
 垂井英夫・那須香織『自己株式の課税関係 —会社法を基礎に—』(財経詳報社、2009)
(アメリカの税制)
 伊藤公哉『アメリカ連邦税法 第5版』(中央経済社、2013)

■法人税法
(学術書)
 岡村忠生『法人税法講義 第3版』(成文堂、2008)
 山本守之『体系法人税法 32訂版』(税務経理協会、2015)
 中村利雄・岡田至康『法人税法要論』(税務研究会出版局、2013)
 中村利雄『法人税の課税所得計算〔改訂版〕-その基本原理と税務調整』(ぎょうせい、1990)
 品川芳宣「法人税の課税所得の本質と企業利益との関係」税大論叢40周年記念論文集(2008)
 秋山忠人『法人税における資本金等の額―企業会計と法人税との調整―』(大蔵財務協会、2012)
(自己株式関連)
 武田昌輔「自己株式の無償取得」税研129号(2006)
 清水秀徳「自己株式の無償・低廉取得に係る法人税の課税関係」税大論叢66号(2010)
 古川昂太「自己株式取引が時価と乖離した場合の課税問題―資本取引と損益取引との区分の観点から―」立命館大学法政論集(2013)
(無償取引関連)
 伊藤裕史「法人税法における無償取引課税に関する一考察 -法人税法第22条第2項益金の額を中心として-」租税資料館賞受賞論文集20巻(2011)
 清永敬次「無償取引と寄附金の認定〜親子会社間の無利息融資高裁判決に関連して〜」税経通信33巻13号(1978)
(アメリカの税制)
 本庄資『アメリカ法人税法講義』(税務経理協会、2006)

■税法以外(企業会計)
(規定)
 大蔵省企業会計審議会「企業会計原則・改正版」(1982)
 企業会計基準委員会「討議資料・財務会計の概念フレームワーク」(2006)
 企業会計基準委員会「金融商品に関する会計基準(企業会計基準第10号・改正版)」(2008)
 企業会計基準委員会「自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準(企業会計基準第1号・改正版)」(2015)
 企業会計基準委員会「自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準の適用指針(企業会計基準適用指針第2号・改正版)」(2015)
(学術書)
 武田隆二『最新財務諸表論 第11版』(中央経済社、2008)
(資本取引)
 万代勝信「資本・利益の区分をめぐる歴史的動向と理論―資本取引と損益取引の区分を中心として」企業会計59巻2号(2007)
 壹岐芳弘「資本と利益の区分 ―会社法における剰余金の会計規制と配当規制を中心として」企業会計59巻2号(2007)
(アメリカの規定)
 Joel G.Siegel,Marc H.Levine,Anique A.Qureshi, Jae K.Shim『HANDBOOK OF POLICIES AND PROCEDURES』(CCH、2013)

■税法以外(会社法)
(学術書)
 江頭憲治朗『株式会社法 第6版』(有斐閣、2015)
 神田秀樹『会社法 第18版』(弘文堂、2016)
 龍田節『会社法大要』(有斐閣、2007)
 中村忠『[新訂]株式会社会計の基礎』(白桃書房、1996)
 高橋英治『ドイツと日本における株式会社法の改革』(商事法務、2007)
(自己株式関連)
 大隈健一郎「自己株式取得規制の緩和について」商事法務1295号(1992)
 杉野博貴『自己資本構造論―株式の時価発行と自己株式取得による自己資本構造の変容―』(中央経済社、1998)
 曾我部豊「自己株式取得に関する日米法の比較法的考察」一橋論叢31巻5号(1954)
 龍田節「自己株式取得の規制類型」法学論叢90巻4〜6号(1972)
 野村修也「金庫株の解禁」ジュリスト1206号(2001)
 鵜飼哲夫「自己株式の資産性について(1)」同志社商学25巻2号(1973)
 馬場克三「自己株式の資産性について」産業経理第17巻5号(1957)
 龍田節・江頭憲治郎・関俊彦・小林量・竹中正明・遠藤博志「自己株式取得の規制緩和をめぐって」商事法務1285号(1992)
 原田晃治・泰田啓太・郡谷大輔「自己株式の取得規制等の見直しに係る改正商法の解説(上)」商事法務1607号(2001)
 吉戒修一「『自己株式の取得及び保有規制に関する問題点』について(上)」商事法務1316号(1993)
 吉戒修一「平成六年商法改正法の解説(1)」商事法務1361号(1994)

■税法以外(日本語)
(辞書)
 新村出 編『広辞苑 第6版』(岩波書店、2008)
 法令用語研究会 編『法律用語辞典 第4版』(有斐閣、2012)

※他にも追記すべき書籍等がございましたら、コメント欄にご記入いただきたく思います。

著名な学者一覧

■東京大学系

 金子宏 東京大学名誉教授
 中里実 東京大学教授
 水野忠恒 明治大学教授
 渕圭吾 神戸大学教授
 増井良啓 東京大学教授
 浅妻章如 立教大学教授
 吉村政穂 一橋大学准教授

■京都大学系

 清永敬二 京都大学名誉教授
 岡村忠生 京都大学教授
 渡辺徹也 早稲田大学教授
 高橋祐介 名古屋大学教授
 酒井貴子 大阪府立大学准教授
 小塚真啓 岡山大学准教授

■中央大学系

 富岡幸雄 中央大学名誉教授
 大渕博義 中央大学名誉教授
 酒井克彦 中央大学教授

■財務省・国税庁・法務省出身者系

 本庄資 名古屋経済大学名誉教授(京都大学出身)
 品川芳宣 筑波大学名誉教授(慶応大学出身)
 森信茂樹 中央大学教授(大阪大学出身)
 今村隆 日本大学教授(東京大学出身)

■その他

 垂井英夫 甲南大学教授
 西山由美 明治学院大学教授
 三木義一 立命館大学教授
 田中治 同志社大学教授

※その他、追加すべき学者の方がいらっしゃいましたら、コメント欄へ記載いただきたく思います。

学習ポイント① (一番大事な条文)

法人税法は、22条が最も重要な条文となります。

 

何故ならば、22条の前に規定される1〜21条には、

 ① 誰が納税者で、

 ② どんな所得に課税され、

 ③ どこにその状況を報告しなければならないか等

が規定されていますが、

実際の課税対象となる所得の金額の計算方法の基本概念が22条に規定され、その詳細が23条〜65条に規定されています。

 

そこで、法人税法を理解するためには、まずは1〜21条をざっくり理解し、22条をちゃんと理解することが重要かと思われます。

また、税理士試験対策としても、まず、22条関連の理論をしっかり頭に叩き込んで、その後に各論を押さえた方が、学習効率が良いと思われます。

 

ちなみに、法人税法66条以降には、

 ① 所得の金額から税額を算出する方法や

 ② その他の手続き、

 ③ 特殊なケースの取扱い

が規定されています。

この辺りは、65条までを理解した後で学習する方が良いでしょう。

各事業年度の所得の金額

法人税法に規定される「各事業年度の所得に対する法人税」という税の課税の対象(課税標準)。

当該事業年度の益金の額から当該事業年度の損金の額を控除した金額とされている。