1. 滞納処分

納税者が税金を滞納した場合、原則として、納税者の元に督促状が送られます。

それでも、税金の納付が行われない場合は、納税者の財産の調査等が行われたのち、滞納処分が行われます。

滞納処分が目的とするところは、納付されない税を取り立てて、納付されるべき税額を国庫に納めさせることにあります。
滞納処分には、以下の手続があります。

 ①財産の差押 ・・・納税者の財産を差押える
 ②交付要求 ・・・滞納している税額の交付を要求する
 ③財産の換価 ・・・差押えた財産を換金する
 ④換価代金等の配当 ・・・交付要求等に基づいて、お金を税金の支払いにあてる

1. 国税徴収法とは

国税徴収法とは、国が税金をどのようにして徴収するかを規定している法律です。

税金を徴収する上で、納税者が税金を納めてくれない場合、
どのようにして徴収するかを考えなければなりません。

例えば、どのように、督促して、差押えして換金するかなど。。

 

国税徴収法は、このようなルールなどが規定されています。

[入門] 国税徴収法

 第1章 国税徴収法とは
  1. 国税徴収法とは

 第2章 税金を滞納すると
  1. 滞納処分
  2. 配当計算
  3. 国税優先の原則
  4. 共益費用の優先
  5. 租税間の優先関係
  
 第3章 税金の徴収と借金の徴収
  1. 被担保債権
  2. 法定納期限等
  3. 譲受前にある担保権

  
 第4章 その他のトピック
  1. 用語の整理

※下線のついてない項目は、執筆中の項目です。

NTTドコモ事件

1.まえがき
 本判例研究は、法人の減価償却資産の判定単位について、最高裁まで争われた判例(最高裁平成20年9月16日判決)をふまえ、減価償却資産の判定単位をどのように判断するべきかを検討するものである。

2.事実の概要
(1)相関関係
 ①X(法人、原告・被控訴人・被上告人)
  株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ。首都圏で携帯電話事業を営む法人。NTTグループの1社(筆頭株主は、日本電信電話株式会社(略称、NTT)。筆頭株主の保有割合は、67.13%(1999年3月31日))。
 ②A(法人、訴外)
  エヌ・ティ・ティ中央パーソナル通信網株式会社。日本電信電話株式会社の通信網に依存して基地局間や他社との通信を行っている法人。NTTグループの1社。NTTグループが決定した方針に従い、1998年12月1日にPHS事業の全部をXに譲渡。
 ③B(法人、訴外)
  日本電信電話株式会社。
 ④Y(所轄税務署長、被告・控訴人・上告人)

(2)事件内容
 ①Xは、エントランス回線利用権(15万3178回線)をおよそ111億円で取得(1回線あたり7万2800円)。全額、損金経理。

  施設利用権 111億円 / 現金預金等 111億円
  減価償却費 111億円 / 施設利用権 111億円

②その後、Xは、Bからも回線利用券を取得(約2万5000回線)。同様に損金経理。

③①、②の損金計上は、法人税施行令133条(当時)所定の少額減価償却資産に該当することを根拠。

④税務署長Yは、エントランス回線利用権の集合体を一の資産と見るべきとして、これらは少額減価償却資産に該当しないとして、課税処分を行った。

⑤同様の処分をNTTドコモ地域会社8社に対しても行われ、本件と合わせて約280億円の損金算入が否認。

⑥Xが、本処分を不服とし、国税不服審判所へ審査請求。その後、出訴。

⑦Yが1審の判決を受けて、控訴、上告。

(3)審査請求
①国税不服審判所
  PHS通信では、移動による基地局の切替処理などのため端末電話機は同時に2つの基地局と通信するので、実効ある通信のためには2つのエントランス回線が不可欠であると認定し、2つの利用権が1単位となると判断。
  すなわち、資産の取得価額は、7万2800円×2回線の14万5600円。
  ただし、一括償却資産には、該当するとして、処分を一部取消し。

(4)判決
 ①一審(東京地判)
  エントランス回線は、1回線でも機能するため、取得価額は1回線で判定するXの主張を認める。Yが控訴。
 ②原審(東京高判)
  一審と同様の理由で、Xの主張を認める。Yが上告。
 ③最高裁
  A.減価償却資産は、法人の事業に供され、その用途に応じた本来の機能を発揮することによって、収益の獲得に寄与するもと解される。
  B.エントランス回線は、1回線でも通話を可能にするための機能を持つ。
  C.したがって、1回線に係る権利1をもって、1つの減価償却資産とみるのが相当であるから、取得価額を7万2800円とし、少額減価償却資産に該当すると判断するべき。

3.事案の検討
 以下に、別冊ジュリストに記載されている岡村忠生教授の解説を記載する。
 (1)実質的に所有者の移転
  本件は、実質的には、エントランス回線利用権の所有者が、AからXに移っただけであるにもかかわらず、約280億円の損金が計上された。
 (2)減価償却資産とは
  固定資産のうち、使用または時の経過によって価値の減少するものを減価償却資産と呼ぶ(これらは、費用収益対応の原則によって費用化される)。そして、エントランス回線利用権は、期限の定めがなく、価値の減少するものと言い難い面がある。
  しかし、Yはエントランス回線利用権が減価償却資産に該当しないとは主張しなかった。このことは、税法上の減価償却資産の範囲を費用収益対応の原則によって画することができないことを意味する。
 (3)取得したものはBに対する協定上の地位か
  実際に、Aからエントランス回線利用権を承継しているので、Bに対する協定上の地位とは言い難い。
 (4)1単位の判定基準
 ①法人税法基本通達7-1-11では、判定単位を「通常1単位として取引されるその単位」とされているが、本判例では、その「通常」の要素を明確には考慮していない。
 ②「収益を生み出す源泉」としての判断より、「用途に応じた本来の機能」の観点から、最低限の機能しか要求していない。
 ③「少額減価償却資産(令133条)」の主旨や改正の経緯から、「少額減価償却資産」の範囲を限定する解釈上の努力が行われなかった。
 ④法人税法施行規則19条(グルーピング)は、一顧だにされなかった。
 (5)費用収益対応原則の崩れ
  費用収益対応原則が崩れると、課税ベースが浸食され、所得課税が変質する。本件は、グループ法人間でのまとまった資産の移転に対する課税のあり方について一石を投じたものと言える。

4.本判決に対する意見
 最高裁判決に全く異論はない。なぜならば、エントランス回線は1回線毎に売買が可能であるため、購入した回線全てを1体としてみると仮定するとき、「①大量の回線を一括して取得したとき」と「②1回線ずつ個別に取得したとき」との課税の公平性が保たれない。
 したがって、課税の公平性の観点から、売買が可能で、かつ収益の獲得に寄与するための機能を発揮する最低限の単位で判定することは、妥当であると考えられる。
 ただし、契約の内容が、無期限にエントランス回線を利用できる権利のみであれば、本利用権が減価償却資産に該当しないため、全額資産計上すべきであると考える。

5.事案の検討に対する意見
 以下、3節に記載した事案について検討してみる。
 (1)実質的に所有者の移転
  本件は、実質的には、エントランス回線利用権の所有者が、AからXに移っただけであるにもかかわらず、約280億円の損金が計上されたことについては、一見、違和感が生ずるが、本来、少額減価償却の固まりであるエントランス回線は、A社が取得時に全額損金算入され、X社へ譲渡する際に、益金が計上されるべきものであったと考えれば、不自然ではない。
 (2)減価償却資産とは
  エントランス回線利用権は、期限の定めがなく、価値の減少するものと言い難いため、本利用権は、電話加入権と同様に減価償却資産以外の固定資産がと扱う余地があったのではないかと考えられる。
 (3)取得したものはBに対する協定上の地位か
  岡村教授の考えに異論はない。
 (4)1単位の判定基準
  ①本利用権の取引は、通常、行われる取引とは言い難く、本判決が、法人税法基本通達7-1-11における「通常」の要素を明確には考慮していないことになんの疑義もない。
  ②「収益を生み出す源泉」としての判断より、「用途に応じた本来の機能」の観点から、最低限の機能しか要求していないことについても、4節に述べた公平性の観点から、疑義はない。
  ③「少額減価償却資産(令133条)」の主旨や改正の経緯から、「少額減価償却資産」の範囲を限定することについても、4節に述べた公平性の観点から、疑義はない。
  ④法人税法施行規則19条(グルーピング)について一顧だにされなかった件についても、4節に述べた公平性の観点から、疑義はない。
 (5)費用収益対応原則の崩れ
  会計上の利益と、課税上の所得は必ずしも一致しない。公平性の観点から、不一致が免れないならば、仕方がないと考えられる。

6.個人的に気になるケース
 以下、類似のケースで私が気になるケースを列挙する。
 (1)レンタルビデオ屋のビデオ
  ビデオ1本では、商売として成立しないが、やはり本件と同様に扱うべきか。
 (2)不動産賃貸業者がビルを建設したときの給排水設備
  不動産賃貸における機能の最低単位は、1フロアであると考えられるが、給排水設備の取得価額は、1フロア毎に対応する金額で判定するべきか。給排水設備の他にも、照明設備、窓枠、カーテン等も同様。
 もし、1フロア毎に対応する金額で判定するとしたら、フロアをパーティションで区切ったとき、判定単位は、小さくなるのか。
 (3)不動産賃貸業者が購入したユニットバス
  ユニットバスは、一体で販売されていると考えられるが、一体で判定して良いか。トイレ、洗面台、浴槽のそれぞれで機能を発揮しているため、金額の明細が明らかな場合、個別に判定して良いか。
  その場合、シャワー、浴槽、および給湯器は、一体化か。
  また、給排水設備の取得に要した価額は、個別に判定でなく、トイレ、洗面台、シャワー等に配分するべきか。

7.参考文献
 水野忠恒・中里実・佐藤英明・増井良啓・渋谷雅弘「別冊Jurist 租税判例百選[第5版]」(平成23年・有斐閣)

以上

脱税工作のための支出金の損金性

1.まえがき
 本判例研究は、法人が脱税工作のために支払った手数料を損金に算入できるか否かを最高裁まで争われた判例(最高裁平成6年9月16日判決)をふまえ、違法な支出の損金性を検討するものである。

2.事実の概要
(1)相関関係
 ①X(被告人株式会社)
  不動産売買等を目的とする会社
 ②A(個人)
  Xの代表取締役の知人
(2)事件内容
 ①株式会社Xの代表取締役が、知人Aの協力を得て、架空の請求書を作成し、法人税の納付額を不当に減少させた。
 ②株式会社Xは、本件の手数料として知人Aに手数料1900万円を支払い、損金の額に算入した。

(3)判決
 ①第一審(東京地判)
  当該支出は、法人税法22条3項の損金に該当しないと捉え、Xの主張を否定。
 ②原審(東京高判)
  当該支出は、法人税法22条3項、4項、および法人税法の立法主旨を考慮すると、損金に該当しないとして、Xの主張を否定。
 ③最高裁
  当該支出を経費として処理することは、法人税法22条4項における公正処理基準に従っていないとし、したがって、当該支出は損金に該当しないとして、Xの主張を否定。

3.意見
(1)本判決について
 当該支出が、損金の額に算入しないことは、課税の公平性を求めている法人税法の立法主旨からも明らかであるため、異論はない。
 しかし、最高裁において、そのことには触れずに、判決を下したことは、意外である。なぜならば、法人税法の立法主旨からすれば、明らかに損金の額に算入すべき事案でない本件について、あえて、様々な解釈の余地がある法人税法22条4項のみを根拠としたことの理由が理解できないためである。

(2)違法な所得を得るために要した支出について
 本件は、法人税法そのものの立法主旨に反する違法行為であったため、そのための支出が損金の額に算入されないことには、疑問はない。
 しかし、民法などのその他の法律においては、取り扱いが異なると思う。なぜならば、違法行為で得た所得であっても、課税されている以上、そのために支出した費用は、損金の額に算入することが公正妥当と認められる処理であると考えられる。
 また、その支出を損金の額に算入することで違法行為を助長してしまうのではないかという意見もあるかもしれないが、違法行為で得た収入は、通常であれば、被害者へ返還されると思われる。その返還義務が確定したときに、納税者は、更正の請求等によって、国に納税額の還付等を求めることとなるため、当該損金の額の算入も取り消されることになる。さらに、「①損金の額に算入された経費等は、その受け手側で課税されるため、その支出に対して完全に課税されないわけではない」し、「②経費の計上によって、その違法行為の全体像が把握しやすくなる」ため、違法な所得を得るために要した支出が損金の額に算入されるとしても、原則として、そのことに異論はない。

以上

弁護士夫婦事件

1.事実の概要
 ① 原告Xとその妻Aは、共に弁護士として、それぞれ別の住所地で事業を営んでいた。
 ② 原告Xは、妻Aへ仕事を依頼し、その対価を支払っていた。
 ③ 原告Xは、妻Aへの支払い対価を事業所得の計算上、必要経費に算入した。
 ④ 結果、原告Xは、被告Y税務署長にから、所得税法56条を根拠に当該経費を否認され、更正処分および過小申告加算税賦課決定処分を受けた。
 ⑤ 本処分につき、原告Xは、憲法14条1項に違反するとして提訴。

2.判旨
 ① 第一審、請求を棄却。
 ② 控訴審、控訴を棄却。
 ③ 上告審、上告を棄却。
  (i) 所得税法56条は、納税者間における税負担の不均衡を防止する目的で定められている。
  (ii) 一方、法人組織で事業を営む者(法人では、一定額の役員給与の損金算入が一定の要件のもと認められている)との間における税負担の不均衡を防止する目的で、特例的に所得税法57条が定められているため、事前の承認を得ていれば、一定額の経費算入が認められている。
  (iii) 原告Xの処理は、所得税法56条に反し、かつ税負担の公平を保つ目的で定められた57条の適用要件も満たしていないため、認められない。

3.解説
 ① 所得税の課税単位は、個人単位主義が原則。
 ② 所得の分割による租税回避を防止するため、生計一親族は、まとめて所得計算(56条。ただし、57条による特例あり)。
 ③ 上記②(56条)については、以下の2つの考え方がある。
  (i) 生計一親族への支払対価に係る所得計算、どのような場合であれ、適用される。
  (ii) 生計一親族が従属的な役務提供をしている場合のみ、適用される。
 ④ 上記③(ⅱ)は、同事件の控訴審・上告審で否定されている。
 ⑤ 56条は、当初、生計一親族が従属的な役務提供をしている場合のみを想定して定められたものと考えられる。そのため、批判もある。
 ⑥ ただし、56条が著しく不合理であることが明らかでない限り、憲法14条1項に違反するとは言い難いと思われる。

4.感想
 ① 理想としては、事業所得の計算上、収入を得るために必要な経費であれば、必要経費に算入されるべきであると考えられる。
  (i) すなわち、対価性が認められる金額であれば、必要経費として認められるべき。
  (ii) しかし、対価性を立証するためには、帳簿等の管理が不可欠であるため、青色承認を受けていることが前提である所得税法57条1項は、妥当であると考えられる。また、対価性の立証義務が生じるのは、密接な関係にある者間での所得の付け替えが疑われるため。したがって、従属的な役務提供であるか否かは問題ではない。
  (iii) 青色承認を受けていなくとも、妥当とみなせる一定金額を認める所得税法57条3項も妥当であると考えられる。
  (iv) 青色承認が事前承認でなければならないことについて、少し疑問がある。(もしかしたら、偶然に、それらしき資料が揃ったために、不備のあるまま青色申告者が続出することを防ぐためかもしれない。また、少なくとも、法人も事前承認が要件なので、法人・個人間の公平性の観点では問題ない。)